和歌山電鐵 社長 小嶋 光信
和歌山市にある和歌山東南ロータリークラブの皆さんが、創立45周年記念の社会奉仕活動として、貴志川線はまだまだ設備が充分でないでしょうと貴志駅はじめ5駅に計8基、ベンチを寄贈してくれました。
交通政策基本法が成立し、地域公共交通活性化・再生法が改正されて、これからの地域公共交通は国、地方自治体、市民と公共交通事業者が一体になって維持・発展させていくように変わりました。今回、「貴志川線の未来を“つくる”会」に続いて東南ロータリークラブの皆さんが地域の公共交通を守るということを社会奉仕活動に入れてくれたことは、大変嬉しいことです。行政に加え、その地域の市民や団体が自分たちの大事な「足」として自ら守り、利用していただけなければ、少子高齢化社会ではいずれ公共交通はもたなくなってしまいます。
最近の気候変動は昔と比べて異常です。その上あまりの気温や気圧などの気象変動に、高齢者や幼児の身体がついていかず、健康にも問題です。温暖化にもっと敏感になって、環境に優しい公共交通にシフトしないと、本当の先進国にはなれません。
先日会社を訪れたオランダの青年が、私に「ヨーロッパではとうの昔にマイカー社会を卒業して、環境と健康と安全な公共交通社会に転換していますよ。なんで日本は未だにマイカー社会にしがみついているのですか? 理由を教えてください」と尋ねに来ました。私は「今はまだ国民の自分さえ良ければのワガママと、環境や公共交通への政治の貧困です」とお答えしました。イギリスはじめヨーロッパでは大臣以外の国会議員は公共交通利用で、政治家自らが実践しています。きっと日本にも心ある議員や行政の方々はたくさんいるので、いずれそうなっていくでしょう。
若者たちのマイカー離れが生活の観点から生まれていますが、環境や健康についても本当の先進国化に取り組むことが、日本再生であり、地域の公共交通を維持することが最低限の地方創生です。
たまⅡ世駅長も、「ロータリーの皆さんがベンチくれて嬉しいニャン〜!みんなでもっと公共交通を利用して、良い国創ろうニャー」と興奮していました。