和歌山電鐵 社長 小嶋 光信
貴志川線の未来を”つくる”会の5周年おめでとうございます。
一口で5周年といいますが、みなさんの会が無ければ、また在っても活動が本物でなかったら、私たち和歌山電鉄は生まれていませんし、現在順調に再生も出来ていなかったでしょう。
私たち両備グループは、本来地元の岡山で地域公共交通の存亡をかけて、公共交通利用で「歩いて楽しいまちづくり」運動を展開し、21世紀未来型のLRT「MOMO」の開発や、中心市街地空洞化を阻止するために108メートルのグレースタワーを建設したりして活動しておりました。
市民団体の「RACDA(ラクダ)」が私たちの運動を全国に紹介してくださって、それから全国各地からどうやったらLRTを復活できるか、どうやったら赤字鉄道やバスを再生できるかの問い合わせが多数舞い込み、その中の一つが皆さんの貴志川線の取組みでした。
私が再生の判断をしているポイントは、
1. 本当の物心両面の市民の存続運動があること
2. 行政と議会の一本化した支援体制が構築されていること
3. 廃止される会社の協力があること
を前提に、道路の拡幅が今後も見込まれないこと、人口がこれ以上減少しないこと、観光などの企業努力の余地があることなどでした。
覆面で岡山電気軌道の幹部とは別に、現地調査して、その全てに合格することを確認できました。
そして欧米型の公設民営の手法で、上下分離し、運営会社は三セクでなく100%民間出資とすること、住民の要望は会社内に設置する運営委員会を司令塔にすることのスキームを決めて再生に取り掛かりました。本来法律上だけではできないこのスキームを提案し、行政がこの超法規を大変な努力で纏めていただいたことも今日ある理由です。
そしてまさに和歌山電鉄開業の日に、和歌山電鉄再生のシンボルとなるスーパー駅長たま様が、住みかを失って、救済を求めてきて、救世主が生まれたのです。みなさんと共に年間50前後のイベント、いちご電車、おもちゃ電車、たま電車の投入とともに、このスーパーアイドルたま様のコラボレーションで、まさに地域に奇跡が起きたのです。そして将来の地域鉄道を守る法律「公有民営」法が生まれ、90もの地域鉄道のうち、存続の危ぶまれていた70近くに希望の光がともったのです。
実はこれからが正念場です。すでに次の10年に向けての火蓋が切っておろされています。この5周年をバネに、さらに未来をつくる会が、結成されたときのあの燃えるような情熱を燃やして、さらに組織充実されていくことが、次の時代を開く大きな要因になるのです。おめでとうございます! そしてさらにピッチを上げて、みんなで手を取り合って、貴志川線だけでなく全国の地域公共交通の活性化に向けて頑張りましょう!