和歌山電鐵 社長 小嶋 光信
「良い仕事してますね〜」という言葉が流行っていますが、世界で唯一、檜皮葺きの猫の顔をした屋根を持つこの貴志駅は、素晴らしい出来映えで、世界一の地方鉄道の駅舎として名を馳せるだろうという期待で、久し振りにワクワクしました。
8月1日、竣工前検査に来たとき、出来映えもさることながら、たまスーパー駅長が気に入ってくれるかが気掛かりでした。ところが、たまスーパー駅長は新しい駅長室に入るや否や、警戒するどころか、気持ち良さそうに寝そべって、大きく身体を伸ばして寛いでくれました。初めての場所でこんなに気に入ってくれると思っていなかったので、安堵するとともに感激しました。これが木の温もりなのですね。
貴志駅の新駅舎構想が持ち上がり、古いままの駅舎を残すか、それとも思い切って新しい駅舎を作るかの意志決定には、大いに悩みました。というのは、基本的に投資能力の無い再生鉄道ですので、経営の重石になってしまっては再生にとって不味いのです。しかし、日本一、世界一の駅舎が創れれば、むしろ再生のみならず、紀の川市や和歌山市、また和歌山県の観光の大きな資源としてプラスになると思いました。
行政やサポーターの皆様方の熱い声援にお応えして、思い切って木の国和歌山に相応しい木造の駅舎を、鉄道デザインの魔術師の水戸岡さんに託して創ることを決意しました。 その建設期間中、駅舎の近隣の皆さんや小山商店さんにも大変ご協力いただきありがとうございました。
たま執行役員も、「メタボになるから役員報酬は辞退するニャン。素晴らしい駅舎を造ってくれればそれで十分ニャゴ」というので、この世界で一つのたまステーションをプレゼントしようということにしました。
たまステーションは、和歌山県勲功爵で弊社執行役員たま駅長に相応しい駅舎であり、木の国和歌山県の紀の川市の表玄関に相応しい駅舎となることを目指しました。水戸岡さんは、エコでネコロジーをテーマに擬猫化された素晴らしいデザインを考えてくれました。たまをモデルにした駅舎として、たまの駅長室、たまカフェ、たまトイレそして、いちご、おもちゃとねこのお社など、まさにたま(玉)手箱です。檜皮はじめ自然素材を中心に、世界に二つとない駅舎になり、地域の誇りとなるでしょう。
全国の大勢の和歌山電鉄のサポーターの皆様と和歌山県知事、和歌山市と紀の川市の両市長はじめ行政と議会のご来賓の皆様にご出席いただき、このたまミュージアム・貴志駅が竣工出来たことに感謝しています。
この駅舎が和歌山県、紀の川市や和歌山市の名物になって、地域の発展に寄与してくれて、そのうえ和歌山電鉄の50年、100年の存続のモニュメントになれば幸いです。 是非皆さんも、この素晴らしい貴志駅とたまスーパー駅長に会いに来て下さい!