和歌山電鐵
社長 小嶋光信
昨年10月に京都市内で開かれたシンポジウム「都市と交通の再生」へパネリストとして出席した際、偶然、隣に座っていたパネリストが今回の翻訳を引き受けてくれた毛丹青さんでした。毛さんが、「たま駅長のことを、私の『知日』という本で扱ったら、凄い人気で今までの最高の部数を販売しました。そのお礼を言わなくてはなりません。私も、たま駅長の社葬に行きたかった」と仰ったことから大いに話が弾みました。
毛さんは、中国での日本叩きが強烈になった時に、単身中国に渡り、日本の本当の姿を『知日』に纏めて、「本当の日本は中国で言われているような国ではない!」という主旨の発表をしてくれたそうです。単に日本贔屓(ひいき)ということではなく、本当の日本の姿を知らせるのがジャーナリストの仕事だという使命感からの決死の行動だったのだと思います。
こんな素晴らしいジャーナリストに、私の著した『ねこの駅長たま-びんぼう電車をすくったねこ-』を翻訳してもらい、この本の主人公が語る姿を通して中国の皆さんに日本人の心を感じて欲しいと思いました。
中国の皆さんも本当に優しい方々が沢山いて、日本と同じように地方では少子高齢化と若者の流出で困っていると思います。そんな地方の人々や、これからの中国を担っていく子どもたちにぜひこの本を読んでもらいたかったのです。
そんなことから、とんとん拍子に話が進み、毛さんの出版する『在日本』の別冊として今回出版されることになりました。中国語版『ねこの駅長たま』は、8月13日~8月23日に開かれる「上海ブックフェア」でお披露目されることも決まり、私も著者として参加する予定です。
ちょうど、今日6月22日は、たま駅長の2年目の霊祭で、たま大明神に翻訳本の出版の報告を兼ねて記者発表をすることにしました。毛さんは大学での要務があり、どうしても都合がつかなかったので、出版社の顧問でもある毛さんの奥様・廖子威(りょう・しい)さんがその報告のために貴志駅に駆けつけてくれました。
廖さんが「たまが亡くなった時、中国では日本以上に悲しみの報道が伝えられました」と仰ったので、思わず、「たまの身体は滅びましたが、大明神という神様になって、何時でも貴志駅にある大好きな桜の木の傍で皆さんを待っていますよ!」とお話ししました。毛さんご夫婦は、お二人とも大の猫好きで、やはり一昨年に亡くなった愛猫「くま」を愛しんでおられました。
中国の皆さんも、ものすごく猫が好きで、和歌山電鐵へ大勢お越し下さっていますが、この中国語の翻訳本の出版が日中友好の懸け橋になれば幸いです。